プライドとアルコール

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プライドとアルコール

就職氷河期時代、大学生活も終盤となり、私は就職活動もせずに実家に戻り地元にUターン就職をする事に決めて友人達が必死で就職先内定を獲るのを滑稽な目で眺めていました。 「美和ちゃん本当に地元に帰っちゃうの?」 「うん、うちは母が帰ってきて欲しいって言うから仕方無いの」 私の母はアル中の父と離婚していましたし、姉は実家でニート生活をしていましたから母の希望を受け入れる事を理由に地元に帰る選択をしたのです。 彼氏も友人達も都会での就職を決めて卒業間近の飲み会での事でした。 「一緒に飲み歩くのも出来なくなるね」 「え~新幹線なら1時間だよ‼」 私は就職を甘く考えていたのかもしれませんでした。そんな事より、心が離れた彼氏から遠ざかる事が出来るのが私にはメリットだったのです。 心が離れた彼氏と縁を切れないのは私の躯が♂を求めてしまう生理的欲求でしたから、大学卒業と就職を機会にして彼との縁を絶ち切るつもりでした。そう互いに傷付かない自然消滅を私は選びました。しかし、その日も私は彼を求めてしまったのです。 「美和ったら、こんなに濡らして‼」 彼は呆れつつ歓んで私の中に入ってきます。 (ああ、逝きたい...イクゥ~もう、好きでもないのに....)これで終わりにしよう.... アル中の父と私は同じ血が流れているようでした....酔うと激情が溢れて欲しくなってしまう躯...そして翌日、後悔する自分を断ち切れると、私は考えていました。 (あのビールの泡が私を狂わせてるだけ‼) 自分自身に言い訳して、この頃の私は自身の性欲を認めていませんでした。 それは私のプライドに起因する問題だと気付くまでに相当な時間を要したのです。
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