プロローグ

20/20
前へ
/20ページ
次へ
マンションのローンが残っているのは事実だ。元彼と半分分けて徐々に返却する予定がくるってしまい、その負担はすべて彩響に回ってきたから。今までは何とか返してきたが、さすがにこれ以上の出血は避けたい。だからと言え、この家事代行サービスを諦めるのも嫌だった。 (あのゴミ屋敷に戻るのは…さすがに勘弁したい…) 「ハニー、私は今まで『家事は女がやるものだ』という世間の偏見を破りたく、この事業をやって来たんだ。家事だけではない、世の中のすべてを、なにかで区別してしまっておくのは良くないと思っている。 我が社の社員たちは決して破廉恥な事はしない。しかし、彼らは今までずっと男だからという理由で、きちんとした入居家政夫として活躍できてない。もし君が私の気持ちに少しでも共感できるなら、ぜひとも彼らに機会を与えてくれないか?」 その言葉に、彩響は古い記憶を思い出す。元彼の言葉や、会社の編集長の暴言。いつもいつも『女はこうであるべきだ』と叫んできた彼らとずっと一緒にいて、いつの間にか自分までそのように思っていたのかもしれない。 でも元彼のような、編集長のような人にはなりたくない。 彩響は顔を上げた。 「わかりました。それでお願いします。」 「これで、契約成立だね。」 Mr. Pinkがパチンと指を鳴らすと、お試しで来てくれた4人がぞろぞろと応接室に入ってきた。 (えっ…?) 「ふふっ、丁度彼らがその「入居家政夫」を希望するスタッフなんだよ。気に入った家政夫はいるかい?」 「あー…」 「毎日ピカピカした空間で住みたくない?俺にしなよ。」 候補1番。掃除のプロ(ヤンキー) 河原塚 成さん。 「洋服を管理するのはなにより生活に必要なことかと。」 これが候補2番、洗濯のプロ(変態) 三和 寛一さん。 「ちゃんと食べなきゃ、なにもできないよ?」 早速アピールする、候補3番 料理のプロ(ガキ) 雛田 林渡くん。 「片付けして、一緒に幸せになりませんか?」 最後、片付けのプロ(信者) 今瀬 清嵐さん。 それぞれが主張する中、彩響はお試し期間を思い返す。 自分に本当に必要な家政夫。力になってくれる家政夫。 やがて、彼女が選んだ家政夫は… ★ここまで読んでいただき、ありがとうございます! 彩響が最後どの家政夫を選択したかによって、次の話が続きます。 現在「洗濯の変態編」と「掃除のヤンキー編」を完結して、「料理のガキ編」連載中です。宜しくおねがいします。 1. 洗濯の変態編(完結) https://estar.jp/novels/25615057 2. 掃除のヤンキー編(完結) https://estar.jp/novels/25644850 3. 料理のガキ編(連載中) https://estar.jp/novels/25711235 4. 整理整頓の信者編 (連載予定)
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70人が本棚に入れています
本棚に追加