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ーーー3月9日
卒業式を終えた後の教室、今までと広さは変わらない。
なのに、とてもとても広く感じるのは何故なのか。
ここには俺たち2人以外は誰もいない。そんな静かな教室に心地よい風が流れる。
ーー凍てつくような寒さは消え、春はすぐそこまで来ていた。
目の前の女子生徒は左手で髪の毛を耳にかけながらそっと瞳を閉じ、俺に背を向けた。
その小さな背中は新しい一歩を踏み出すような覚悟、そして少しの哀愁を漂わせていた。
背を向ける瞬間、頬を雫が伝って行くのが見えた気がした。しかし、今の俺にはそれをどうにかしてやる権利はない。
俺も静かに背を向け、色々な思い出のあるこの教室を後にした。
ーーー決して振り向くことはしなかった。それは、俺にはまだやらなければならないことがあるから
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