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ある日君はプレゼントをくれた。「俺がいなくても泣かないように」って。四つ葉のクローバーの形のペンダント。本当は本物の四つ葉のクローバーを探したらしいけど、何時までたっても見つからず諦めて、親に買ってもらったという。ただ大人用のペンダントだったので、当時の私には大きくて付けられなかった。それでも私は嬉しくて、大切に握り締めていた。
次の日君はこの街からいなくなった。小さい頃の私には「親の都合」だとか「家庭の事情」だとかは分からなかった。ただ、「君がいなくなった」というその事実だけが、私の胸を打った。その日の夜の月は、まるで私の心を写し出したかのような綺麗な三日月だった。
君がいなくなってから、私の心には融けない雪が降り積もるようになっていた。
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