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その後、柳島お兄さんから何度か電話があったけれども無視した。しばらくすると電話はかかってこなくなった。
わたしは極力心を無にして日常を過ごした。
毎日、同じ時間に起きて支度し、会社に行き、仕事をこなす。忙しくしていれば無為に考えることもなくなるので、土日も予定を入れた。
安定した仕事があることがありがたかった。あんなにも辞めたいと思っていた退屈な仕事なのに、今はこの仕事があることが助けになっている。
自分のように才能がない人間は、いつまでも夢を追いかけないで現実を受け入れなければ、と、わたしは自分に言い聞かせた。
淡々とした、なんの刺激もない、退屈だけれども平和な日々が過ぎていく。
気がつけば季節は移ろい、梅雨が明けて夏になろうとしていた。
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