恋が咲いたなら

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『どうしようもなく恋は咲く』 アフターミニストーリー *  *  *  暁翔(あきと)はこの日がくるのをずっと待っていた。  アイドルの(みやび)とつき合い始めて二ヶ月あまり。親しくなった頃の彼は、アイドルをやめなければならないほど人気がなかった。  しかし小さなきっかけが大きな転機となり、今の雅は押しも押されもしない人気アイドル。男性アイドルのトップを目指して邁進(まいしん)する、キラリボーイズのメインメンバーの一人である。  当然忙しく、デートもままならない。朝から晩まで歌にバラエティ番組にとかけずり回り、たまのオフはいつもクタクタだった。  つき合い始めて二ヶ月が過ぎるけれど、体を重ねたのはたったの一度だけ。しかも最後まではしていない。  雅はオフの日、暁翔の家に泊まりに来るが、疲れた体を休ませてあげたい気持ちが勝り、暁翔は手を出せずにいた。  だがとうとう、今日という日がやってきたのだ。  今日の雅は一日中オフ。体調は良好、桜の花のような笑顔が眩しい。  自宅で一緒に昼食を食べ、庭の桜でも眺めようと思っていた矢先に、耳元で恥じらいながら『今日こそ、エッチしようね』と囁かれ、暁翔のリミッターが吹っ飛んだ。
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