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ウチの本家は、人に厄をもらたす"悪いもの"を祓い清める、"祓い師"を生業としている。
残念ながら、我が家のような末端の分家になると、祓い師の力は無いに等しい。精々、悪いものや"人ならざるもの"の気配を感じるくらいだ。
だが、叔父は違った。
……なんというべきだろうか。
術士としての力がないに等しい者からすれば、別の術士の力量を計る術なんて、ほぼ直感のみ。
しかも、その直感だって、当てになんぞ大してなりやしない。
だが、それでもオレは、叔父と初めて会った瞬間、かの人の身から滲み出るように感じられた強大な力に、思わず圧倒されてしまった。
きっと、親父もオレと同じものを感じて、己と実弟との力量が月とスッポンほども違うと確信した筈だ。
――術士としての素質と実力が、手前や親よりも遥かに秀でている。
親父はそう感じたからこそ、叔父をバケモノと認識したのだろう。
かの人を一目見るなり、親父の面が歪んだのを傍で目の当たりにして、すぐに気が付いた。
あれは、強大な力を持つ者に対する畏怖の念を抱いた時の面だ。
親父は肝っ玉の小せぇヒトだから、手前はただただ黙して、あちらさんの言うことに逐一頷くしかできなかったのもまた、屈辱だったろう。
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