トントン拍子

4/5
前へ
/5ページ
次へ
その結果、相乗効果でバーは大繁盛するようになった。あいつも多くのお客で賑わって幸せそうだし、俺も多くの人に頼られて自信をつけた。そのうえ多少の出世もした。さらにただのアドバイスに謝礼までもらえて悠々自適。ついでに言うと、彼女と結婚の予定までできてしまった。  ラストオーダーを終え、静かな幸福感でいっぱいになったバー。俺とあいつ、ふたりで乾杯する。 「感謝してる。お前が右腕でバーをはじめてくれたおかげだよ」 「迷惑じゃなかったか?」 「迷惑じゃない。不便だな。それも最初だけ。いまではかけがえのないものになってる。全部お前とバーのおかげさ」 「自分の力じゃないか。こっちは酒を出す以外、なにもしてないぜ?」 「ぜんぶ酔った勢いだったんだよ」 「かもしれないな。でもお前にはもともと力があった。なのに遠慮しすぎるんだよ。不器用なんだ。肩から力を抜ければ、ガラリと変わると思ったんだ。たとえば、酒の力でも借りれば」 「まさか、お前……」
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加