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3日目
「この前、彼女と水族館に行ったんだけどさ」
自慢したいオーラを隠しきれない山下達之助は、食い入るように俺を見ながら言った。
「あ、そうなんだ。彼女って何次元だったっけ?」
素直に自慢させるのは癪なので、余計な事を言ってみる。しかし、慣れっこの山下には通用しない。
「もちろん、三次元だよ。それで、彼女が俺の誕生日を祝ってくれてさあ」
「そうなんだ。山下って誕生日あるんだ、知らなかった」
「誕生したからにはあるだろ。それで、誕生日プレゼントに財布くれたんだ。これなんだけど」
渡してきた財布は革製で、どこぞのブランド品であることを思わせる。俺は無許可で財布を開き、カード類を物色した。
「お、Tポイントカードあるじゃん。俺も持ってるんだ」
「そうなんだ。ていうか、勝手に中見るなよ。彼女と撮ったプリクラ入ってるんだから」
見るなと言った割には満更でもなさそうな顔だ。
「プリクラってことはゲームセンターにでも行ったのか? 俺すごいUFOキャッチャー得意なんだよ」
「俺も得意だよ。彼女にアルパカのぬいぐるみ取ってあげた」
しまった、相手の得意分野に入ってしまった。早急に対策をとらなければならない。
「アルパカって、何考えてるか分からないよな」
「俺の彼女みたいに、分かりやすかったら良いのになあ」
敵の攻撃力が上がっている気がする。
「水族館いる間も、彼女がソワソワしててさ。だからさ、この後に何かあるなって気付いちゃったよ。まあ分かってても嬉しかったけど」
連続攻撃だと…!? 大ピンチだ。
「おーい、お待たせ」
そんな声と共に、救世主が続々と現れた。どうやら着替え終わったようだ。
「よし、帰ろう」
慌てて立ち上がる。
「おう。でさあ、彼女が……」
これ、帰ってる間も続くのか?
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