多分これは不可避

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 帰り道、駅に向かう途中、あのビルから若い女のコに囲まれたクロくんが出てきたのは、数日後の夕暮れのこと。  ノー残業デーは大体ここの学生たちと帰宅が被るのを忘れてた。  この間のノリで絡まれるのを避けたくて、気付かれないように通り過ぎようとしたのに。 「彩未センパイ!!」  しまった、見つかった!!  またね、と周りの子を振り切ってこちらに走ってくる彼。  何? 何なの? 「お仕事お疲れッス」  やっぱりノリがチャラい、私の周りにはいないタイプの人間だ。 「ありがとう、クロくんも終わり? お疲れ様」  社会人三年目、コミュニケーション能力は昔よりは良くなってるはず。  彼が苦手なタイプであることを、顔には出してはいない、つもり。  勝手に並んで歩き出してくるのに困りつつ、駅までは少しの距離だしと我慢。  とっとと巻こう、さっさと帰ろう。 「彩未センパイ、高校の時から全然変わってないですね!」 「クロくんは変わったよね」  嫌味のつもりで言ったのに彼は嬉しそうに笑ってる。 「あ! そうだ! センパイ、これ、良ければ貰って下さい」  また、連絡先!?  身構えて横目でそれを確認すると。  一枚のチラシ?  立ち止まりそれを貰って確認した。
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