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結局ユウキとの話し合いがつかないまま、私は受験に没頭した。
その離れている間に、ユウキが同級生の女の子と仲良くなっていることに気づいたのは、合格が決まった頃。
街で二人が歩いてるところと遭遇してしまった。
「彩、あの」
焦りまくって繋いでた手を離して、彼女を後ろに隠したユウキ。
どうして? ねえ、どうして?
心の中で湧き出てくる黒い感情を必死に抑え込むように唇をかんだ。
「ごめん、オレ」
なにか言いかけたユウキの言葉を握りつぶすように声を重ねる。
「私、もうすぐ卒業するし、丁度いいんじゃない? 寂しくないね」
泣きたかった。
何で、って問い詰めて別れたくないとごねたかった。
でも、諦めがそれを上回って出た言葉。
「何か、他人事ぽい、キツイね」
ユウキが泣き出しそうな顔で苦笑して、私に一礼して彼女と手を繋ぎ去っていく。
振り向いたら、やっぱりイヤだよ、ユウキを返してって、泣いてすがってしまいいそうだから。
震える拳を握りしめたまま、前だけを見て歩き出す。
私、可愛くない、キツイ言い方だったよね。
自分の性格は自覚していたけれど、今日ほどキツイなと感じたことはなかった。
大好きだったんだよ、ユウキ。
多分私の方がね。
***
苦い想いが蘇ってきて、逃げるようにアルバム閉じてまたクローゼットの奥へとしまい込む。
もうちょっと言い方があっただろうに。
ごめんね。
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