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高校に進学しても、三人の友情に変化はなかった。あくまで三人の中では。周りの環境が違ってきていた。それぞれが、それなりに他生徒にモテ出したのだ。
亜理紗に、同級生のユミが周りに誰もいないことを確認しながら近づいてきた。
「ちょっと、い~い?」
「なに?」
「あのさ、亜理紗って進くんと仲いいでしょ?」
「ま、まあ……」
この時点で亜理紗は気づいた。ユミが何を言いたいのかを。でも、何も感づいてないふりをする。
「えっと、聞きにくいんだけど……、彼女とかっているのかな~~って」
「う~~ん、聞いたことないけど」
「じゃあさ、もしだよ、もし」
「うん……」
「私が告ったりしても平気かな?」
やはり、そういう話だと思った。何せ、これが初めてじゃないから。
「う~~ん。いいんじゃない」
「そ、そう?じゃあさ、じゃあさ、亜理紗も応援してくれる?」
「え、えっと、わたしは~~」
亜理紗は恋愛絡みのことに疎い。自分のことに関しても、だ。さらに、あのふたりの男に関しては言わずもがな、である。けれどユミは、亜理紗の答えを待てずに、次の段階に進んでいた。
「ちょっと悪いんだけど、進くんにそれとなく伝えてもらえないかな?」
「う、う~~ん。そういうことは自分でしたほうがいいんじゃない」
「ふ~~む。やっぱ、そっか~~。だよね!ありがと」
楽しそうに去っていくユミ。少々うんざり気味の亜理紗。
今日は進だったけど、一週間前は和也だった。さらにその前は、亜理紗自身にも告白があった。
「あ、ああ、い、いいんじゃない。なぁ?」
「え?ん、まぁ、だな、俺がどうこう言えることじゃないし、なあ?」
和也と進に告白されたことを相談しても、ふたりとも相談に乗りたくないのか、互いになすりつけあうようだった。きっと、そういうことに対して、亜理紗よりも、もっとずっとウブなんだと、亜理紗は思った。だから、自分で答えを用意しなくちゃいけなかった。もちろん、NOと。悪いひとには見えなかったけど、何か違う感じがしたから。中途半端な気持ちでOKしても、結局納得いかないだろうし、相手にも悪い気がするから。ただ、断るのも憂鬱だった。それを考えてほしかったのに、あれだけ渋るのだから、まだまだお子ちゃまなんだと確信した。
だから前回の和也のときもダメだったみたいだし、今回のユミの進への告白もうまくいかないんじゃないかと思う。
まあ、どちらにしても、あまり深入りするのは得策じゃないと思う。別に、自分が相談に乗ってもらえなかったからじゃなく、和也と進の三人でいたから、女の子との付き合いが苦手なところがある。男っぽいとまでは言わないまでも、女の子同士の会話のやりとりや話のテンポにどうもついていけないのだ。あとでユミに何か言われても困るし。
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