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「ご先祖様から受け継がれてるって聞いたことがある」と、鞘から それを抜きますと
行燈のライトを反射し、白々と光る刃の光が
眼に ちかりと致しました。
真田は、魅入っておるように見えるのです。
「真田、危ないから 鞘に... 」という 私の声に
「ああっ、何か来た!」という 涼二の声が重なりました。
縁側から、よう分からぬ 黒い靄の如き何かが
飛び込んで参りました。
「おのれ 魔性め!」
「ええーっ?!」「真田?!」
叫びましたのは、私ではなく 真田で御座います。
護り刀を手に、黒い何かに突進して行くのです。
「真田、やめろって!」
「どうしたんだよ?!」
しかし、下手に止めに入りますと
私共や真田自身が 怪我を負うことも考えられます。
黒い何かに 一振り浴びせた真田は、両断され
二つとなって 土間に転がり込んだ黒い何かを
尚も追い、どちらにも斬り付けました。
「やった... 勝った... 」
暗い土間で 肩で息をする真田に、行燈ライトを持って近付きますと、真田の前には 石臼が転がっておるのです。
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