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私は「ああ、真田... 何て事を」と 真田の喉の前に 手のひらを出しました。 “いいの?” と 眼で確認する真田に頷きますと 真田は、喉の前にある私の手のひらに 手品ナイフを カションと やりました。 パタリと 真田が倒れます。 「これって、状況的に おれらが 家宝の刀を盗ろうとして 真田を殺した... って、思われないかな?」 思われますまいが、刃は ボロボロで御座います。 「思われると思う。それに絶対 死罪だ」 死刑ではなく、死罪と申したところに 涼二にも影響が見受けられます。 「それに、真田だけ逝かせるなんて」 「おれらも逝くべきだ」 「だけど、真実は伝えるべきじゃないか? それで 潔白が証明出来なくても」 私が 口を挟みますと 「確かに そうかもしれない... 」 「でも、先に遺体が見つかったら 話なんて聞いてもらえないぞ。引っ捕らえられる」と なり 「一度、真田を隠そう」と 押入れから 布団を出し、真田を巻きました。 「納屋に隠す?」 「うん。申し開きして、切腹する時に “真田は納屋です” って言おう」
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