12

5/8
前へ
/1195ページ
次へ
布団に巻いた真田を立たせ、土間に降りるのを手伝うと、家の横にある納屋に 真田を入れました。 「暗くて怖いんだけど!」 「少しの辛抱だって」 そして 座敷に戻りますと、真田が居るのです。 刃こぼれした護り刀は、何処にも ありません。 「真田!」 「今、納屋に しまったのに!」 「何のこと?」 真田は「家宝の刀?」と、護り刀の事も知らぬ と 申します。 「納屋に確認に行こう」 納屋には、真田の遺体は無く 布団も押入れに戻っておりました。 「大罪を犯すところだった... 」 「げに 恐ろしき... 」 九日目の怪異で御座います。 「涼二、早く戻って来いよ」 涼二は まだ、納屋の前に居るのです。 高島が呼びますと、涼二は 四つん這いになって 土間の入口から 入って参りました。 「その頭、どうした?!」 座敷から顔を出した 真田が、這い歩く涼二を見て ギョッとしております。 涼二の頭は、二倍程の大きさになっておりました。
/1195ページ

最初のコメントを投稿しよう!

382人が本棚に入れています
本棚に追加