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「ああーっ!! ちょっと早く来て!! いや、涼二は来ないでっ!!」 ますます真田が 騒ぎました。 座敷に上がった 涼二の頭が割れ、赤子が這い出して来るのです。 「えー... 」 赤子等は、次々に這い出し 座敷を這い回ります。 「ニコニコしてる」 「ハイハイが楽しいのかな?」 「可愛いね」 「えっ? 何が何が?」と、座敷の入口に立っておる 涼二。赤子等が消えてしまいました。 十日目の怪異です。 「あっ、真田! それ!」 なんと、真田の腰に 先程の護り刀が下がっておるでは ありませんか! 「爺ちゃんの刀だ!」 そこは変わらぬようですが、鞘が無いのです。 刃こぼれは直っており、白々と輝いております。 「危ないって」 「鞘は どこだろう?」 皆で、座敷や土間、納屋に至るまで探しましたが 鞘は御座いません。 ぽたり と、座敷に何かが落ちました。鞘です。 「あった!」 「でも、天井から... ?」 首を傾げておる内に、たらいが落ちて来て 「おお、たらいじゃ。これは勘弁」という 榊に似た女子の声を追い、庭から出て行きました。 十一日目の怪異です。
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