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スニーカーを履き、門から出ると
「えーっと、一の山の麓で 別の道から折り返したから、唐揚げ屋さんは あの辺り」と
高島が指を差します。
「あっ、明るくない場所だ」
「遠くは 明るいよな... 」
明るくないのであれば、唐揚げ店は 無いのでは
ないでしょうか?
しかし、次々に腹は鳴るので
兎に角 向かってみる事に致しました。
涼二の手には 行燈ライトが御座います。
「電池式なんだ」
「だって、コンセントなんか無かったじゃん」
「暗いよなぁ。山の麓だから、特に」
「外灯って偉大だよね」
私には懐かしくも思える 古き家並みの道を歩きます。現代の友と歩いておる事に、不思議な感覚が致しました。
涼二が私に向き、にこ っと微笑うております。
同じ様な事を考えたのでしょう。
「あれ、流れ星?」
高島が指したのは、赤く輝く流星です。
「え?」「こっちに... 」
それは、あっという間に 私共の元に飛来し
「痛っ!... くは なかったかな?」
高島の腰を、ぽこり と 打ったのです。
赤く輝く流星... 得体の知れぬ赤い石は
そのまま消えてしまいましたが
「これって、“あの家から出るな” って事じゃないの?」と、涼二が解釈し
私共は 腹を鳴らしながら、すごすごと戻りました。 十三日目の怪異です。
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