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「籾擦り... ?」 「どうやって?」 「臼で()く」 私が申しますと、真田や高島は 「四郎って、変なとこ物知りだよね」 「助かるけど」と、不思議そうにしておりましたが、何やら 空の臼を搗く音が致します。 「えっ? 自動?」 その様な事は御座いません。怪異です。 「今、籾つきの米を入れたら?」 「おお、やってもらおうか?」 高島と真田が、いそいそと 籾を両手に掬い 臼の中に入れました。 「これ、ちょっと強くない?」 「止まらないけど... 」 「まぁ、待ってみようか?」 しかし、籾と共に 米も砕かれてしまいました。 「これじゃ、炊けないよ」 「籾だけ除けたら?」 「すっげぇ時間掛かって、お粥作るの?」 「でも、勿体無いじゃないか」 私は、臼から引き上げた籾と 砕けた米を 鍋に上げ、座敷に運びました。 蟇蛙であった葛籠から 大きな紙を取り出しますと 畳の上に敷き、鍋の中身を広げます。 砕けた米だけを鍋に移す作業 開始です。
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