プロローグ。

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プロローグ。

 魔王になった  なんのことを言っているのかよくわからないかもだけどわたしにもよくわからなかったりする。  わたしは大預言者サーラ様のお言葉のままにこの地を訪れただけのなんのへんてつもない女の子、の、はずだったのだ。  わたし、アリシア=レイニーウッド  ごくごく普通のなんの能力もない一般人、の筈。  ちょっとだけ違うといえば、前世の記憶があるって事ぐらいかな。  ラノベによくあるようなチートの能力も無く、前世の記憶で色々活躍出来たりもするわけでもない。  なんといってもこの世界には異世界転生異世界転移なんてありふれすぎてて、文化的にももう元の世界並み、いや、魔法がある分だけこっちの方が進んでるかも。  そんなこの国、一応剣と魔法の世界にあるベルクマール大公国の騎士の侍従の家庭に生まれたわたしは、ごく普通の女子として育ち、つい先日成人したばかり。  この国では子供の基礎教育が重視され小学校中学校があり、十五歳で成人するまでは将来の職業選択を視野に入れた授業をも受けられる。  わたしは侍女科だった。  ほら、やっぱりどうせならメイド服だよねー。  って感覚で。  身分差があるこの世界ではサービス業はそこまで発達していなかったし株式会社って概念はあっても普及しなかったから、一般事務とかの職もすっごくハードルが高かったからしょうがないよね。  そんな中で、侍女っていうのは若い女子の間ではいわば憧れの職業であったのだ。  当然、ランクの高い職場は伝手が無ければ競争率が高く、公主様の館なんていったら身元検査も選抜試験もとんでもない厳しさで。  毎年一般侍女科の卒業生でその難関を突破出来るのは精々一人か二人。そんな中でわたしは今年奇跡的に合格したのだ。  まさか、こんなことになるとはその時には微塵も考えて居なかった。  只々幸運に酔いしれていたのになぁ。
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