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働く子供たち・・・エジプト
イスラム過激派という名称をマスメディアで頻繁に聞くようになった頃、僕は単身エジプトの首都カイロに向かいました。
その2週間前に、ドイツ人観光客を乗せたチャーターバスが銃撃される事件が発生しましたが、幸いにも大きなケガをした人がいなかったとの報道もありました。
真夜中に現地に到着し、一人タクシーでホテルに向かいましたが、街の道路という道路に銃を担いだ兵士たちが配置されていましてねえ。
その時は正直ビビッて、今回の旅を後悔しましたわ。
タクシーの運転手は「事実上の戒厳令だ。」とは言ってましたが、「彼らがいるから治安は保たれている、大丈夫!」と力説してました。
(全くの余談ですが、このタクシーは結構オンボロで、チェンジレバーの取っ手が無くなっていて、運転手のおじさんは床から突き出た金属棒を
器用に操作して運転してました。)
翌日、地図を片手に市内をブラブラしてみました。
学校で習ったナイル川はやはり大きかったですねえ。
川縁に粗末な船が何槽も停泊してましたが、大人たちに混じって中学生くらいの男子が魚網を操って、大きな魚を揚げている光景を見ました。
市民の居住区近くに足を踏み入れると、道の傍らに煉瓦を積んだ建築現場がありまして、10歳くらいの男の子二人が素手でセメントをこねてました。これにはビックリしましたね。時間にして平日の10時頃です。
「君たち、学校は?」って聞きたいくらいでした。
この国をせっかく訪れたからには、やはりピラミッドは見ておきたいですよ。たまたま知り合った現地の青年たちに連れられて、ピラミッドのあるギザ地区までバスで向かい、そこからは馬に乗って周辺を巡るミニツアー(といっても、案内人の青年と僕の二人だけ)に参加しました。
砂漠を進む途中、大きな樹の木陰に佇む白いガウンと、つば無し帽を被った10歳くらいの男の子と目が合いました。
案内人の青年と知り合いらしく、現地語で何やら交わした後、「この子はここで観光客相手にドリンクを売っている。買ってあげてくれないか?」と彼が僕に言いました。
「僕にもおごって。」と付け加えることも忘れずに。
乾いた暑さと空気の乾燥が激しい国です。
僕も喉が渇いていましたので、すぐに承諾しました。
すると、男の子は肩から下げていた大きなかばんから、ビンのペプシコーラを2つ取り出しまして、王冠を抜いて渡してくれました。
不思議なもので、全然冷えてなったのにもかかわらず、メチャ美味しかったですねえ。
よく考えれば、この案内人の青年も見た目から高校生くらいです。
僕からタバコをせがんで、何本か吸ってましたけど。
生活水準とか教育とかの単語が何度か頭を過ぎりました。
画像のピストルのおもちゃはカイロ市内を散策している途中で
見つけたバザール近くのおもちゃ関係の露店で買ったものです。
プラスチック製で駄菓子屋さんレベルのおもちゃですが、れっきとした
エジプト国産です。
西部劇風のパッケージが、中東諸国の中でもアメリカナイズされたエジプトの現状を物語っているようです。
帰りの空港でのこと。
手荷物検査でこれを見つけたエジプト人の男性係官はすかさずこれを
手に取り、「バチューン!バチューン!」とおどけてみせました。
お互い、笑い合いながら「あなたもこれで遊んだの?」とつたない英語で聞いてみました。
うん!と彼はうなづき、そしてもう一度「バチューン!バチューン!」
銃口は僕に向けず、全然違う方角を向いてました。
エジプト人は親日派が多い、そう聞いていたのを思いだしました。
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