値切った私がバカでした。・・・ロシア

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値切った私がバカでした。・・・ロシア

 ある年の3月上旬、名古屋の繁華街にある公園。 野外カフェでホットドッグとコーヒーなんぞを買って、軽く昼ご飯を・・・・とテーブルに座っていると。 ダウンジャケットにニット帽姿の女性が一人、僕のもとに来まして。 青い目をした20代の外国人の女の子。 両手で箱を抱えています。 そして、片言の日本語で「ワタシ、ロシアから来ました。留学生です。 学費、生活費、足りません。ロシアの民芸品、売ってます。 いかがでしょうか?」てなことを言います。  彼女が差し出す箱の中には、木彫りのマスコットのついたボールペンやら、”クマのミーシャ”風デザインのポストカードやらが、どっちゃり。 どれでも一つ1000円、みたいなことを言います。 正直、デザイン的にも僕の触手が動くほどのものではありません。 せめてロシアの民族衣装を着たお人形でもあれば、良かったんですが。  ふと、箱の隅の方を見ると、レインボーカラーの石(ガラス細工)を付けたキーホルダーがありました。 同じ、何かを買ってあげるならば、せめて実用性のあるものがいいや。 そう思って、「このキーホルダーはいくらですか?」 すかさず「1000円。」と彼女。 いや、いくらなんでも、そりゃ高いわ。「500円、OK?」と私。 そのロシア娘は懇願するような表情で「生活、大変です。お願いします。」などと言います。 ん~。でも、これに1000円は・・・・か、と言って、「やっぱり、要らんわ、向こうへ行け。」ってのは言いにくい。 色白でまあ、可愛い娘だし。←はい、スケベじじぃね。 「・・・・700円では?」僕がこう切り出した瞬間。 「♪ Ё~Б~~、Д、Й~~・・・」一人で手拍子を打ちながら、 彼女が歌い始めたんです、突然。しかも、結構でかい声で。 僕の顔をややガン見しつつ、色白の頬をすこし赤くしながら。  要するに、金額を負けられない分を(素人)芸で払おうと。 これにはさすがの僕も降参しました。 買いましたよ、1000円キーホルダー。  全然、話が反れますが、画像はロシアの自動車のおもちゃ。 20センチくらいの大きさで、ブリキ製です。ロシアではなくギリシャで買ったおもちゃなんです。アテネの青空市場に出店していた、ロシアの業者と仲良くなりましてね。 30年前(平成10年位)の話ですが、当時の日本でもブリキ製のおもちゃは既になかったですよ。日本でブリキ製のおもちゃがメジャーだったのは、 昭和30年~40年代までですから。 このおもちゃ、かろうじてタイヤは回りますが、扉やボンネットが開くわけでもなく、エンジン音が鳴るわけでもなく。 タダの”ブリキの塊”みたいに無骨かつ地味なゴツさが、そのまま僕が抱く ロシアのイメージになっています。 d1ebe73f-7552-470d-8219-058fe26e3582 c1b9aad5-a2d5-4f12-bc62-dd4159892381
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