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「うん」 「礼華くんは真面目だと思うけど、朱雨くんちゃんとやってた? 抜けてパチスロとか行ってない?」 「どうだったかなぁ…」  礼華がとぼけると、朱雨は礼華につっこむ。 「おい待て礼華! ちゃんとやってたって証言してくれ!」 「ちゃんとやってたような気がするかな?」 「気がするって!」 「じゃあ、ちゃんとやってたってことにして、帰りにパチスロ?」  綺悧が更にいじる。 「行ってねぇよ!」 「気を付けて下さいよー? このご時世なんだから」 「だから行ってねぇっつーの!」  前回のライブでも感じたが、綺悧が取り回すMCはテンポよく、メンバーそれぞれのキャラを引き出している。一度ライブを見れば、それぞれがどんなタイプのキャラクターなのかを把握することが出来る。 「このトーク力、ユウセイさん譲りって感じ」  往時のユウセイのMCも楽しいもので、彼のバンドに興味がない者も、ついMCに引き込まれ、その結果ライブ自体を全部見てしまうような物だった。特に、よく喋る綺悧と寡黙に控えている宵闇は、ユウセイとタイジの対比を思い起こさせる。 「不思議なもんだな。お互いまだ知らないっつーのに。彩人くんがユウセイくんのMC見て覚えたわけじゃねーんだろ?」 「うん。昔のビデオなんか特に、MCなんか入ってなかったもんね」 「こんなんも遺伝するのかな」 「するのかもねぇ? 和馬さんと貴昭さんもやっぱり似てるし」 「身長?」  180cmを越える身長は、和馬から貴昭にしっかりと受け継がれている。顔立ちはかおるに似ていて、和馬にはほとんど似ていないので、第一印象では身長しか似ていないと思った。が、何度か貴昭と会ううちに、似ているところが見えてきた。
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