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26-12
「こういうね、女装のバンドマンは女形とか言うんだよ。昔から、何バンドかに一人くらいいるんだよね」
「あれか、Malice Mizerの」
「マナ様? そうそう。元祖は誰かな…ヨシキさんもそんな感じあったけど」
スマホで、画像を検索する。
「これ。かまいたちのけんちゃんとか、割と元祖かも」
真っ赤な髪をツインテールにして、タータンチェックのパンク風味なミニスカートを身にまとったかまいたち時代の彼は、バンド内で一番可愛らしく、そして過激だった。
「へぇ。これがいつ頃だ?」
「90年前後くらいかなぁ。結構、ヴィジュアル系の中では由緒正しい流れなんだよ」
「ほぉー」
「けんちゃんもドラム。こっちの雪緒くんもドラム。ギタリストにもいるけど、俺の印象ではドラマーに多いかなぁ?」
「ヴォーカルは」
「少ない気がする」
「意外だな」
和馬は面白そうに、サンドリオンの記事に目を通す。
「じゃ、ベルノとサンドリオン呼んで、こっちはうちと…ディアボロとか呼ぶか。スパイダーリリーも呼べたら面白ぇな」
「だったら、カルミア・ラティフォリアってバンドがあるよ?」
「どんなだ?」
「俺もまだ見てないけど、ガールズのV系メタル」
「おっ、そんなのもあんのか」
「滅多にいないけど。聖名ちゃんがいいって言ってたから、信用していいと思う」
和馬はワクワクしてきたようだ。目が輝いている。
今はワンマンライブが多いケルベロスだが、他のバンドと同様に、対バンで育って来たのだ。それを思い起こすと血が騒ぐのだろう。
「今年は周年だからちょっと難しいけど、来年ならやれるかもな。雄貴も異種格闘技みてーなの好きだから、動くぞ」
「やった! 楽しみだなぁ」
どんなイベントになるのだろう。想像しただけでテンションが上がる。
「サンドリオン、音源あんだろ?」
「ちょっと待ってね」
音楽配信アプリを立ち上げ、サンドリオンのアルバムを選び出した。
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