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     *◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*                                      ユウセイが、カウンターで烏龍茶のグラスを握りしめて貧乏ゆすりをしている。 「やべーっすよ。人生最高に緊張してる」  裕奈が、ユウセイと話をする為に選んだ場所は、サンダー&ライトニングだった。  カウンターから一番離れたテーブルに、「Reserved」と書いたメモ用紙が置いてある。  彼女はまだ来ていない。 「もっとギリギリに来れば良かったんじゃないですか?」  しおんが笑いながら尋ねると、彼は首を振る。 「昨夜っから、マジで寝れてねーんだよ。じっとしてらんねー」  彼女からの返答がどうなのかということが、彼の頭の中を占拠しているのだろう。まるで少年のように、不安と期待が入り交じった表情でそわそわしている。 「ビールか何か呑むか?」  和馬の勧めにも、頷くことはない。 「いや、これは素面じゃねーとまずくないすか。酔っ払ってする話じゃないっすよ。なぁ?」  しおんに顔を向けて同意を求める。 「まあ、確かにそうですよね。でも酔っ払ってなきゃいいんじゃないですか?」  この様子では、彼は呑んだところで酔えない気がする。 「ま、話が終わってから祝杯にしようや。なあ、ユウセイくん」 「祝杯になりますかね。残念会になりませんかね」 「おいおい、弱気だな」 「弱気にもなりますよ。何年越しだと思ってんすか」 「知ってますけど、大丈夫ですよ」  しおんだけは彼がもらう裕奈の答えを知っている。それに向けて、彼のテンションをどうにか持ち上げておいてやりたい。 「あんだけデートも断られたし」 「結局デート出来たじゃないですか」 「俺が必死なのが哀れやったんやないかな」 「もう。自信満々のモテ男はどうしたんですか」 「それとこれとは別だろうよ」  力を込めた指先が白くなっている。 「いいから、リラックスして下さい。それじゃちゃんと話聞けないでしょぉ?」  しおんは彼をそう宥めて、グラスを握り締めている指を一本ずつ引き離す。
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