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「はい、甘い物食べると落ち着きますよ」 「サンキュー」  彼は素直に受け取り、フィルムを解いてチョコレートを口に入れる。  カウンターに伏せておいたスマホを返して時間を見ると、間もなく約束の19:30だ。 「そろそろ裕奈ちゃんも来るかなぁ」 「…っ」  ユウセイの動きが止まる。 「まだ! まだ来てないですから!」 「でも来るだろ」 「来ますよ。待ち合わせしてるんですから。逆に来なかったらどうするんですか」 「…困る」 「でしょぉ? はい、深呼吸して下さい」  彼はゆっくりと息を吸い、一瞬止め、吐き出し始める。  その時、入口のドアが開いた。  ユウセイは思い切り噎せて咳き込む。 「おいおーい」  和馬はカウンターの中から手を伸ばし、苦笑しながらユウセイの肩を叩く。  しおんが入口に目をやると、裕奈は立ち止まってしおんに手を振った。 「ご案内しますね」  近くにいた颯太が、彼女こそが待ち人だと察してすぐに彼女の元に行き、予約済の席にエスコートする。 「はい、ユウセイさん、行ってらっしゃい」 「俺らはここで見守ってっからよ」 「…残念会付き合って下さいよ」 「祝い酒だよ」  彼は立ち上がり、裕奈の待つテーブルに歩いて行く。  裕奈は笑顔で彼を迎えた。彼女も少し緊張している様子だ。  控えていた颯太が、オーダーを聞いてカウンターに戻って来る。 「ユウセイさんは烏龍茶」 「真剣だなあいつ」 「真剣じゃないわけないでしょ」 「裕奈さんは、銘柄何でもいいからバーボンロックで」 「酒豪か」 「俺の次に呑めるよ?」  和馬はすぐにそれぞれを用意して、颯太に持たせる。颯太はそれをスマートにサーブすると、こちらに戻って来た。
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