27-5

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 それから、きっちりと背中を伸ばして座り直し、頭を深く下げる。  裕奈は笑って首を振り、頭を下げて返す。  顔をあげた彼は、裕奈に問いかける。裕奈は苦笑して首を振り、少し話す。  ユウセイは再び頭を下げ、真顔で何かを言いかけて小さく首を捻る。  それから、今度は落ち着いて立ち上がり、裕奈に向かってゆっくりとお辞儀をした。  裕奈に促されて着席すると、彼女に語りかける。一つ一つ、丁寧に。裕奈もそれを一つ一つ、しっかり受け止めて頷く。  そして、ユウセイはもう一度裕奈の手を取る。  彼が裕奈を見つめる目線は、もう揺らがない。自信があるとかないとかではない。ただ一つ、自分が考えて出した結論だけを信じて、言葉に換えて裕奈に伝える。  裕奈は穏やかに笑顔を浮かべて、頷いた。  ユウセイは、彼女の手をぐっと引き付け、乗り出すようにしてあれこれと話し始める。裕奈は空いている片手で、笑いながらユウセイの肩を押す。 「あ、多分話決まったな、あれ」 「みたいだね」 「からかってやりてーなー」 「もうちょっと待ってあげようよぉ。いい感じだから」  和馬はいたずらっ子のように目を輝かせてうずうずしている。それを制しながら、和馬の方へ向き直る。 「凄いなぁ。26年も両片想いって」 「りょうかた?」 「両方が片想い」 「ああ、両想いだけど片想いってことか?」 「そうそう。何だかんだあったけど、やーっと収まってくれてほっとしたぁ」  しおんはぐっと伸びをする。正確には、それが何年間のことかは本人にしかわからないところだけれど、長かったことだけは確かだ。  途切れそうになっていた二人を繋ぐ糸は、どれだけ細くなっても切れなかったのだろう。それが赤いのか青いのかはわからないけれど、この二人の間にしかない、とても強い糸。 「俺もほっとしたわ。これでユウセイくんの泣き言聞かなくて良くなったな」  笑う和馬に、ニヤッとして言う。 「わかんないよぉ? 喧嘩する度に泣きついて来るかも」 「喧嘩するか?」 「絶対するねぇ。裕奈ちゃん、めちゃくちゃ強いから」  そう言えば、和馬は二人が話しているところを見たことがなかった。対等にバンバン言い合うのだから、これからぶつかることもあるだろう。それでも、その程度のことで離れる二人ではないはずだ。
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