エピローグ/色づくように。

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     □  ここを去る子たちは、決まって急です。 と言っても、今回の速さは異例で2回目です。 「ふふ」  私はクローラを見送った後。 店内の整理を始めました、整理というよりかは店じまいの方が、 あっているかもしれません。  軽く掃除をし、手書きのポスターを描き終え、店の前に出てシャッターを閉めます。 「よし」  そのポスターには『お休み中。ご用の方はお電話ください』と、書きましたが、 人の目に映るためには、少しだけ低すぎると、少し浮きながらポスターの位置を直し。 私は3回鍵が締まっているかを確かめ、2階へと向かいます。 「おや?」  階段を上がっているさなか、電話のベルの音に気付き早歩きで部屋に入りました。 まるで今すぐ出ろとばかりになり続けるベルに、私はかけてきた人物が誰だかすぐにわかりました。 「乙女ですか?」 「え!ふ、風鈴?」 「ええ、風鈴ですよ。ふふ」 やはり乙女からの電話でした。 クローラが出て一時間もしないうちにかけてくるなんて、何が起きたのでしょうか。 「風鈴、孫が世話になったね」 「あ、ふふ。そう言うことですか、クローラが来てくれて私も楽しかったですよ」  電話口で、ホッと胸を撫でおろすかのような吐息に、 乙女がどんな顔をしているのかが伺えました。 「それにしても。乙女のお孫さんがくるなんて、 想像もしてませんでしたよ」 「悪かったわね、押し付けるようなことしちゃって」 「ふふ、不安定なクローラにお強く言えなかったんでしょうから。 小さい自信をつけることでクローラには良いきっかけになったようで、 日々成長を見せるクローラを見れて私は嬉しかったのですよ」 「本当にありがとう。風鈴」 「ふふ」  長い長い、時を重ね。奇跡的なことがポツンとあって。 こうやって笑えるひと時が合って、私はこの国に来てよかったと思いました。
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