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◇
クローラは住んでいた場所から変わり続ける風景に
徐々に体力を奪われていきました。
首が痛くなるほどに高い見慣れない高いビル群や同じ服装をしている人たちに圧倒され疲れてしまったのでしょう。
目をつぶり体力を温存させようとした時に、おじいさんがクローラにやさしく語り掛けました。
「クローラもうすぐ着くよ」
「?」
数秒間だけ車内から見える景色をそらしていたはずの、
さっきまで首が痛くなるほどの高いビルはなく木々がならび、
同じような服装をしている人たちが一斉に色とりどりに変わっているではありませんか。
あまりの変わりようにクローラは夢でも見ているのだろうと思い、
もう一度目を閉じましたが、怖いもの見たさに薄っすらと目をゆっくりと開くと、
クローラが見た世界は都会のイメージを一変し静かで木々があふれていたままだったのです。
「……すごい」
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