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クローラの呟きをおじいさんは微笑みながら言葉を続けます。
「ほら見えてきた。クローラあそこがお世話になるお家だよ」
「どこどこ?」
さっきまでの疲れや不満はどこへやら。
クローラはその住まいはどんなに素敵な建物だと興奮気味に車内から前のめりに外を見ますが、
どれも素敵な建物で胸をときめかせながらおじいさんに場所を聞くと、おじいさんへ微笑みながら指をさしました。
「え?」
そこは明らかに周囲のカラフルな民家から不自然に浮いている外観に驚きます。
無骨なままに古びた灰色の鉄筋コンクリートがむき出しのツタが建物全体に絡まっていて、
魔女でも住んでいるのではと不安を隠せずに逃げ出したいとまた気持ちが落ち込みそうになった時。
クローラ達の車を待っていたかのように、その怪しい古びた建物から出てきたのは魔女ではなく、
車に近づいてきたのは優しく微笑みを浮かべた金髪の女の子でした。
「初めましてクローラ」
これがクローラと天使の風鈴との初めての出会いでした。
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