弾正明日香、アラサー腐女子でした。

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弾正明日香、アラサー腐女子でした。

 わたしが自分の事、前世の記憶をを思い出したのは、五つの時。  その時の強烈な出来事に脳がパンクしたのかその夜ものすごい熱を出して寝込んだのがきっかけだったかも。  あれは、お参りをするといって神社に連れて行かれた時のこと。  実はこの時はまだ前世の記憶を思い出していなかったから、自分がおかしいってことにも気がついていなかった。  何故か隣にいるわんぱくそうな男の子がわたしとそっくりなことが不思議で、おもうさまにこの子誰? って指差して聞いたのだ。  向こうも同じようにこいつ誰? って言ってたからおあいこかな。  そしたらおもうさま、ああ、お前達は二人ともわたしの子、瑠璃、お前達は兄妹なのだよ、と、そう言うではないか。  確かに。鏡で見る自分とほんとそっくりだとは思いつつ、わたしよりもちょっと大柄なその子がちょっとだけ怖かった。  後ろで待ってるおたあさまは、ギロリとその子を睨み、そしてお隣にいる女性に睨み返されてた。  ああ、彼女があの子のおたあさまなのね、と、瞬時に判断して、わたしはとりあえずにこりと扇をアテ会釈した。  そして。  わたしとにいさまはそのあとお庭の池の周りで一緒に遊んだのだ。  楽しかったな。  にいさまはカエルを手に取ってはいってわたしにくれて。  わたしは何かわからないうちに手に乗せられたカエルのそのベタっとした感触に、泣き出してしまい……。  一生懸命謝ってくれにいさまに、ちょこっとココロを許せたんだった。  しまいには二人して笑顔になって一緒に笑ったっけ。  でも、そこまでだった。  わたしはその後衝撃的な場面を目撃してしまい、そのまま蹲み込んで熱をだしたらしい。  その時のことは今となっては夢なのかほんとなのかもよくわからないくらいで。  ただ。  考えてみたらあれは当然、当たり前だったのかも。だけど。  そのときわたしは、あのわんぱく小僧に見えたにいさまが神社のお庭の草叢でしゃがんで用を足す姿を目撃したのだ。  それこそ他人がしゃがんでぺたんこになって用を足す姿を見ることなんて、前世であっても無かったかもで。  このわんぱくにいさまが実は女の子だということに衝撃を受け。  で、熱を出して寝込んだことで、前世の自分と今の自分に生物学的に差異がある事にも気がついた。  そして、自分がいた時間軸が、此処よりも遥か未来であったことにも。  それまでの記憶はもう曖昧にしか覚えて無いけど、それも前世の記憶が大量に頭に流れ込んできた弊害かも、だ。  前世でわたしはアラサーで、恋人いない歴年齢、というとても残念な腐女子だった。  けっこういろんな本を読み漁ったけど、一番好きだったのはBLジャンル。  と言っても、あんまりあからさまなのは恥ずかしくてなかなか読めなかったけど、なんとなくふわんとしたお話が好きだったのかな。  自分でも恋愛モノのお話書いたりするそんな感じで。  名前は弾正明日香。  なんとなくぼんやりとしか記憶が無いのでいつ死んじゃったのかとかそういうのも覚えてない。  でも、もうじき三十路? ってところまではなんとなくだけど意識があるから、そのあとで事故にでもあったのかな。  生まれ変わって、ほんと今にも儚くなりそうだと言われ続け、わたしは他の同年代の子供と比べ少し成長が遅いものの、なんとか生きながらえてきたらしい。  最近は少なくはなったけれど、先日も気がついたら熱に浮かされもう死んじゃいたいと思って目が覚めた。  起きた時には少し楽になっては居たけれど、この虚弱な身体がほんと恨めしい。  ああ、あの子と身体が取り替えられたらな。  ほんと、羨ましいったらない。  まあ、こんな身体でも行きているだけマシなのか、そうも思うけれど。  この時代はものすごく不便な時代だとは思うしこの身体はほんといろんな意味でダメなんだとは思うけど、  でも、死んじゃってもまた生まれ変われるとは限らない。  いや、輪廻転生で今度は虫とかに生まれるとかだったら嫌だ。  そう、確か、自殺だと良い転生は望めないとかなんとか昔何かで読んだ覚えもあるし、自分で命を絶つとか諦めるとかは論外だ。  今のこの与えられた生で、性で、なんとか生きて行かなくっちゃ。  そう決意を固めたのだった。
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