あたしの半身。理想のあたし。

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あたしの半身。理想のあたし。

 ☆瑠璃の君 十四歳。  昨日は久々に瑠璃姫の顔を見に行った。  御簾の向こうで扇で隠してたからはっきり見えなかったけど、時々こちらを覗き見る時にちらっと見えた姫の顔はやっぱりかわいかった。  あたしの半身、理想のあたし。  でもまだちょっと身体が弱いのが不安。  もうちょっと元気になってくれると良いのにな、って、そう思う。  に、しても。  とうをよっつも過ぎたこのところ、周りの大人の態度が少し変わってきたような気がしてる。  もともとあたしのことを男だと思っている親戚は、早く元服させて宮中に、とせっつき、  もともとちゃんと真実を知っている女房たちは次々と里帰りし居なくなった。  おもうさまから緘口令が敷かれたらしく、新しい女房はみな東の瑠璃が姫、西のあたしが若君だと信じてる。  昔からあたし付きの楓だけなんとか残ってくれたのが救い。  もし彼女まで居なくなってたらと思うとゾッとする。男の真似なんてそうそう続けられるものじゃないし。  装束さえ脱がなければわからないんだけどな。  そんな事も考えるけど。  それでも気が抜けない。  それこそ月の障の時は楓以外誰も近づけられないのに。  ☆☆☆  結局周りの圧力に負けたおもうさまはあたしに元服、姫に裳着を強行し。  晴れて殿上人となったあたしは宮中に出仕することとなった。  五位の少将。瑠璃の少将と、そう呼ばれる事となったのだ。  でもなにあれ。  男ってほんとヤダ。  女と寝ることしか考えてないんじゃ無い?  しかもそれを雅だと遊びだとそんなことばかり。  ああやだやだ。あたしは絶対そんな事はしないぞと、そう心に決めたのだった。  もともと外を駆け回りたかっただけのあたし。  自分で自分の人生を生きたいとは思ってたけど、結局成り行きでこんなことになってしまって流石のあたしも今は少し後悔している。  あれだけ祈ったのに姫は女の子になれなかったしあたしも女のままだ。  このままあたしが実は女だなんてバレるとたぶん姫にも迷惑がかかる。だから。  うん。  頑張って、大人しくして、なんとかやり過ごそう。  何事もそつなくこなし、目立たず、それが目標だ。  そうしてしばらく経った頃、帝が体調を崩して東宮に位を譲ることとなり、朱雀院に移る事となった。  上皇様は御息女の一ノ宮をどうやらあたしに娶らせたいと後見させたいと思し召していたっぽいんだけど、流石にむりでしょ?  そっけない素知らぬ振りをしてやり過ごしていたんだけど、そうこうするうちに今度はおもうさまのご兄弟の右大臣さまの所の四の君との縁談が持ち上がった。  こんなあたしでも男女の違いも結婚してする事も一応わかってる。  そんなふつうの結婚なんてできやしないのに。  なんと、おもうさまが右大臣様に押し切られてしまい。  あたしは結婚する事となってしまった。もう、どうなってもしらないよ?
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