Sunday

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僕は今、生まれ育った福岡で妻と2人 オーガニックスイーツが中心のカフェも併設したセレクトショップをやっている。 福岡に生まれ育ち、製菓専門学校を卒業した僕は 東京で幼い頃からの夢だったパティシエをしていた。 だけど、元々大好きだったファッションの世界も諦めることができずパティシエを一旦離れ 再就職した大手セレクトショップで販売員からスタートし、店長、マネージャーとなったけれど、 4年前、好きなことを形にするために会社を辞めて博多の中心部から少し離れたこの場所に 【And…。】 をオープンさせた。 10歳年下の妻のことは ギリギリ同じ昭和生まれでも、70年代と80年代じゃ世界が違うし女としてみることなんてできない。 ましてや結婚相手の対象になんて一番ならない存在だと思っていた。 そんな僕の考えが180度変わって 今、僕達が夫婦なのは 妻からの猛烈なアプローチがあったからだ。 今の生活は妻の努力で生まれたものだと言っても間違いはないし 妻には感謝しても感謝しきれないことがたくさんある。 新婚生活が始まってすぐ、お店から車で20分離れたここに家を建てたのは ブルーの海と空が一面に広がるこのロケーションに一目惚れをしたからだ。 朝起きてこの景色を妻と見れるのはこの上ない贅沢だと思った。 『ねぇもうすぐ10時だよ。』 妻の声で目が覚める。 休みだしもう少し寝たい気もするけれど、起こしに来たってことはこれ以上寝ると怒られそうだな。 眠たい目を擦りながら 『朝ごはんは僕が作るよ。テラスで食べよ。』 と妻に言った。 最近の幸せはテラスで妻とごはんを食べること。 昔はもっと違うことに幸せを感じていた気もするけれど 何気ない時間が、かけがえのない時間だって気づいてからは幸せ意識が変わった。 妻に何が食べたいかを聞こうと思って キッチンの窓から庭を覗いてみる。 洗濯物を干している妻の横顔がとても綺麗だった。 この先、ずっと一緒だと思ったら出会った頃と同じ気持ちで好きだと言い続けるのは難しいことかもしれないけれど 毎日好きなところを1つ発見することはさほど難しいことじゃない。 今日新しいなにかを想像できたなら、 今日は楽しいことを模索する意味ある時間になる。 子供が生まれたらこの庭でたくさん遊ばして、休みの日はテラスからビーチに降りて海で遊んだりして…。 そんな想像がいつか幸せの形になる。 妻と結婚してからはそんな風に考えるようになった。 きっとあの猛烈なアプローチを受けて180度気持ちが変わった時に僕も変わったんだ。 妻がここにいるなら僕の人生は幸せなんだと。 大事にしたいものは星の数ほどあるけれど 欲しいものも探せばいくらでもあるけれど 妻という存在は何者にも変えがたい。 この先も妻と一緒にいられたら向かうところ敵なしだ。 『ごはんできたよ。』 と庭にいる妻に声をかける。 『あ!オムレツだ!美味しそう!』 『ちょっと待ってね、ケチャップかけるから。』 と言って僕のにはスマイルを。 妻のにはハートの形を描いた。 妻は不思議そうに 『なんで私のはハートなの?』 と聞いてくる。 『また、1つ君の好きなところを見つけられたから。』 と答えると 『なにそれー。』 と妻が嬉しそうに言う。 僕は笑いながら 『日曜日って最高だ!』 と妻に言った。
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