Shrieking

1/1

146人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ

Shrieking

4年付き合った彼氏に浮気をされた。 遠距離になって1ヶ月半。 遠距離って言ってもたかが名古屋↔大阪間。 距離にして170㎞。 車で2時間。 新幹線で1時間半。 在来線でも2時間半。 いつでもすぐに会える距離だけど いつでもすぐに会えない距離でもある。 彼の異動が決まった8月。 彼は急に人差し指に4年間していたリングを左薬指にはめだした。 私はそのことにすぐ気がつきはしたけれど 遠距離という環境の変化で 彼は彼なりの何かがあるんだろうって思っていた。 浮気をしているかもしれない。 正直そう感じることはあった。 だから予兆がなかった訳じゃない。 避けられてるいるのかもしれない。 それとなく感じることもあった。 だけど同時に愛されているという実感もあった。 でもそれも今思えば私の現実逃避からくるまやかしだったのかもしれない。 『話がある。』 と言われた夜、胸騒ぎで眠れなかった。 『異動で名古屋に行く。』 と言われ、別れ話ではなかったことに安堵して涙を流した。 泣いて泣いて泣いて…。 彼のことが本気で好きなんだと改めて思った。 浮気をしていることを知ったのは 彼がやっていないと言っていたInstagramからで 実は彼のアカウントを2年ぐらい前にこっそりと見つけていた私はずっと知らないフリをしていた。 彼にとってInstagramはギャルを検索するためだけのツール。 特に投稿するわけでもないただのSNS。 それがわかっていたから私もフォローをすることもなく野放しにしていた。 だけど2週間ほど前に1人の女の子と相互フォローしあっていて それに対して違和感はあったけれど 疑ってはいたけれど 彼女のオープンにされているアカウントの投稿には彼の情報は何一つなく 何事もないフリをするしかなかった。 だけど今日…。 たった1枚の写真で ハッシュタグで 彼の浮気を知った。 それも仕事が忙しすぎてとっ散らかっていた最中に。 忘れもしない。 #名古屋デート っていうハッシュタグ。 彼の言葉を信じていれば アカウントの検索なんてしなければ 浮気を知ることなんてなかった…。 投稿通知なんてしなければよかった…。 すべては自業自得。 この人しかいないと思っていた。 出会ったときからずっとそう思っていた。 だけど4年付き合って遠距離になったタイミングで将来の話がでなかったってことが この恋が終わるという最終通告だったのかもしれない。 きっと浮気をされたのは私じゃない。 いつからかどこからかのタイミングで 私の方が浮気相手になったんだ。 薬指にリングがはめ変えられたあの瞬間に 彼の心から私は消えた。 170㎞の距離に負けたわけじゃない。 今週末、サプライズで名古屋に行こうかなと思っていた。 だけどなんとまぁ、逆サプライズ。 笑って会いに行って 何事もなく過ごすのか 別れ話をするのか 今は決められないから 仕事中に我慢していた涙を解放して 気がすむまでとことん泣いたら 気がすむまでビールを飲んで 眠ってしまおう。 朝になって浮腫んだ顔を見たら あんな男のために涙を流すんじゃなかったと 思えるかもしれない。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

146人が本棚に入れています
本棚に追加