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『絶対、やだ。』 「でたぁ‥。また嫉妬。ここまで来たら病気だよね笑」 『そうだよ。俺、ビョーキ。』 「なんの?」 『有華を好きすぎる病。』 「ヤバッ笑」 ********************* 高身長‥182センチ 高収入‥国際線航空機操縦士 高学歴‥有名大学卒業 3高と言われるものは軽々クリア。 彼氏に求める条件 1位:優しさ‥私には激アマ 2位:誠実さ‥付き合いだしてすぐ両親に挨拶 3位:清潔感‥仕事上マスト 4位:外見‥ぶっちゃけモテます 5位:マメさ‥マメ以外の何者でもない 世の中の女子が求める条件だって難なくクリア。 理想の彼氏でしかない私の彼氏。 私のことを愛してくれて、大切にしてくれて、一番に考えてくれて‥。 何一つ不満なんてない。 だけど、愛しすぎるがゆえに、大切にしすぎるがゆえに、一番すぎるがゆえに 心配になりすぎて独占欲がすごい‥。 家の中では常にぴったりくっついてる。 トイレ以外はほぼ一緒。 ごはんを作ってるときはバックハグ。 ソファーでの私の定位置は彼の足の間。 寝るときはもちろん腕枕でギュッ。 “家なんだし、もっと自由にくつろいだら?”って言ったら “離れる意味がわからん。それにくっついてるのが癒し。”って真顔で言われた。 車に乗るときは必ずドアを開けてくれて、シートベルトをつけてくれる。 そして私の右手は必ず彼の左太ももの上にあって彼の左手と繋がれている。 “運転しにくくないの?”って聞いたら “ずっと触れてたいから。”ってこれもまた真顔で言われた。 外ではもちろん手を繋ぐのがマスト。 人混みや男の人が多くいるような場所では 腰を引き寄せられて手を回されているか 肩を引き寄せられているか。 強面のイケメンだからなにもしなくても表情怖めなのにとにかく男の人には“ガルル”と威嚇しまくる。 “ねぇ、そんなに怖い顔しなくても大丈夫だよ。”って言ったら “有華はなにもわかってない。有華は総じて可愛い。なにもしてなくても何かしてても可愛い。だから必要以上に男の視線にさらしたくない。”って言われた。 普通こんなことを言われたら“こわっ”とか“激おも”ってなって別れるんだろうけど 私を見る彼の表情はいつも眉毛と目尻が下がっていて本当に愛しいものを見るような デロ甘な感じだから 私もこの素直で重めな愛情表現をついつい“可愛いな”って思ってしまって彼を甘やかしてしまう。 ********************* 『んー。わかった。その代わり迎えに行くから場所と終わる時間教えてくれる?』 「迎えに来てくれるの?嬉しい。早く会えるね。」 『うん。一秒でも早く会って、抱き締めたいから迎えに行く。でもさ、俺に言うのが何で前日なの?最悪、秘密にもできたでしょ?』 「だって今何考えてるか、過去の恋愛だってとにかく何でも話してほしいタイプなんだから秘密にするって言うのはまずないよね。だとしたら話すことはマストだけど絶対ヤダヤダってだだっ子になって、でも最終は必ずいいよって言ってくれるのもわかってたから、それなら事前に言って心配事を増やすより、前日に言う方が良いかなって思って。」 『よくわかってるね。俺の事。あーでもよかった。明日は珍しく日帰りの大阪フライトだったから、余裕でその時間には間に合う。』 「そっか。それはよかった。」 『明日、モテすぎないでね。本音を言えば俺以外の男と笑いあう時間なんて要らないでしょって思ってるし‥。』 「本音過ぎるよ笑」 『束縛しすぎ?』 「おもおも、だけどそういうところが好き。だから嬉しい。独占欲ガチガチなやつとか、嫉妬バチバチなやつとか。」 『じゃあ、俺のことももっと束縛して。嫉妬もしてほしい。』 「それはやだ笑」 迎えに来てもらった時にタイミングよく見られた同級生とのたわいもないスキンシップ。 普通の恋人なら全然気にならない程度の軽いやつ。 でもやっぱり彼は‥。 『ねぇ、さっきのマジでやだ。』 車に乗るなりすぐに抱き締められた。 『もう俺、嫉妬でどうにかなりそう。他の男に隙見せないで。』 「‥。」 『普段からあーいうことしてんの?だとしたらやめて。』 「‥。」 『好きって言って‥。』 「‥きょうすけ‥。」 『名前じゃなくて好きって言ってよ。』 こんなことでもそんなに不安になってしまうのかという驚きと 私が思っている以上に愛されているのだという実感で胸が締め付けられる。 “こんなに人から愛を伝えられること、今までなかった。” 「すきだよ。」 『俺だけだよね。ねぇ。』 「うん。」 『すげぇ好きだってことわかって。』 「わかってる。」 『ホントに?』 「伝わってるから。」 『俺はまだ伝えたりない。有華だけがいればいい。』 そう言って彼は私にキスをした。 『ねぇ、口開けてよ、もっと。』 「外から見えるよ。」 『無理。めっちゃ好き、死ぬほど好きだから。こんなに好きにさせた責任とって。』 『‥わかった。』 私は一言だけ言って、喬介の唇に自分から軽くキスをした。 『え‥。』 「足りない?」 今度はさっきよりも長めのキスをする。 『有華‥。』 「機嫌なおった?」 『‥。』 「私からキスをするのも、膝枕してあげるのも、髪の毛乾かしてあげるのも、デロ甘に甘やかしてあげるのも全部喬介にだけ。」 『‥ん、甘かった。』 「そっか。伝わったのならよかった。」 『うん、だけど。帰ったら俺がもっと有華を甘やかすから覚悟しといて。俺、絶対今日は我慢できない‥。』 「‥バカ‥。」 どんな時だってずっと二人でいよう。 どんな時だってそばにいるから。 どんなに好きでも信じきれないときあるよね。 そういう時だってちゃんとそばにいるって約束する。 だからこれからも私のことだけを見ていてね。 私も喬介のことだけを見てるから。
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