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1  十六歳になる誕生日に、告白をしようと決めていた。  相手は同じクラスの、出会ってまだ半年も経っていない同級生だった。何故、私は彼の事を好きになったのだろう?  例えば、友達と喋っている時の声。例えば、その時に見せる笑顔。  例えば、黒板に書く端麗な文字。例えば、お弁当を食べる時の綺麗な所作。  例えば、放課後よく教室に残って、一人で寂しそうに窓の外を眺める姿。  でも多分、理由なんてものは、何故か誰よりも彼の事が気になってしまった。それだけだ。  気付くと、彼を視線の中に映している自分がいて、特定の人を、好意を持ち見ていると、その全てが良く思えてくる。  だから理由といえば、はじめに気になってしまった、彼の持つその雰囲気が好きだったのだろう。  そして、何故彼は私を受け入れてくれたのか? 彼が、あの時何を考え、何の為に私を受け入れてくれたのかなんて、私には分かる筈が無かった。  でも、一つだけ思い浮かべられる事があるとすれば、私が、誰よりも早く、彼に告白をしたからなのかもしれない。  そうで無ければ、会話を交わした事も、何かお互いを意識し合う様な出来事も無かった私を、受け入れる理由なんて無かった。  それは、ただの私の想像でしか無いのだけれど、その後の彼との日々を振り返ると、きっと、私である必要は無かった。誰でも良かったんじゃないかと思ってしまう。  ただ、意中の相手に想いを伝えるという、思春期にはよくある、告白というものをしてしまったせいで、私は、十八歳の誕生日を迎える前に、この人生を諦めてしまった。  九月五日の誕生日に、彼に告白をした。  
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