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  12  私は、このまま彼との関係を終わらせる事なんて考えていなかった。  それでも、まだ心の整理はついていなくて、しばらくは、彼と距離を置いて過ごしていた。  彼は、やっと私に歩み寄ってきてくれた。それなのに、まだ二人に幸せは訪れなくて、どうすれば、彼が幸せになれるのかの答えが見つけ出せずにいた。  三年に上がるクラス替えで、彼の友達と同じになっていて、時々別のクラスの彼の話しを聞くけれど、彼の友達も最近は会っていないとの事だった。  以前、彼からメールの返信が来なくなり、会えなくなった時には、彼の友達の手を借りた。でも、今回は彼の友達に協力してもらう事は出来ないと思った。  次、このまま三人で会ったとしても、以前の様に楽しく過ごせない事が分かっていた。前の原因は、彼だけの問題だった。  もちろん、私もその子の事を真剣に考えてはいた、でも、私は第三者だったから、今回は、私も当事者だった。  だから、ちゃんと、この問題は二人で解決しないといけないと思っていた。  私は、彼と会う日を成り行きに任せてみようと思っていた。  彼は、いつも遅くまで教室に残っている事が多かった。私も、毎日出来るだけ長く教室に残り、帰りに彼のクラスを通った時、彼が、一人で居たら声を掛けようと思っていた。  私達は、あまり学校の中では話さないようにしていた。ある出来事がきっかけで、それは、彼と付き合い始めて半年程経った時の事で、私は誰からか嫌がらせを受けていた。  内容は単純なもので、机の中の物が無くなっていたり、下駄箱に悪口を書かれた手紙が入っていたりした。  手紙には、バカだの死ねだのの他に、彼氏が出来て浮かれてる? といった内容が書かれていた。  その頃は、彼とクラスの中でもよく話しをしていて、噂される様にもなっていた。噂の事はあまり気にしていなかったけれど、周りの人から、悪意を持って嫌がらせを受けた事の無かった私は、酷く落ち込み、三人で遊んだ時に相談をしたのだった。  彼の友達は、多分それをやった子は、彼の事が好きで、逆恨みでそういう事をやっているんだろうと推測した。  でも、無視して嫌がらせを受け続ける事なんて出来ないだろうという話しになり、学校の中ではあまり喋らないようにして、手紙を書こうという話しになった。  三人で、あーでも無い、こーでも無いと言い合いながら、私は誰とも付き合っていません。嫌がらせはやめて下さい。  という内容の手紙を、相手がこそこそと開けるであろう下駄箱の中に入れて置く事にした。  いつからか、その手紙は下駄箱の中から無くなっていて、嫌がらせも無くなったので解決はしたのだけれど、そのせいで、彼と学校で話す機会はほとんどなくなってしまった。  夏に向かおうとする季節の中毎日、夕暮れの日が差し込む彼のクラスを、静かに眺めて帰る日々をただただ過ごしていた。  
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