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男は地団駄を踏んだ。
「俺が守った平和はこんなものだったのか?」
あの日、彼は悪の結社「ブラック・サンデー」、その統括者であるブラック伯爵を倒し組織を壊滅に追い込んだ。
しかし、大きな悪が滅んでも、この世から悪事が消えるわけでは無かった。
ただ、世界征服を目論む者は彼の前には現れなかった。
小さな悪が、ぽつりぽつりと発生する事はあっても、彼のようなヒーローの出番は無かった。
少しずつ彼のストレスが蓄積されていく。
「くそ~!チマチマしたことばかりやりやがって!信念を持った悪党はいねえのか!!」男のイライラは頂点に達した。
「誰もいないなら俺がやってやる!!」
彼が決意したそれからの日々、彼は仲間を集め組織は大きく成長をしていった。
「ブラック首領様、我々ブラック・マンデーの勢力は拡大し、世界征服まであと一息です」黒づくめの下っ端戦闘員が右手を高く挙手しながら報告する。その壁面には、大きな世界地図が張り出されている。
「ふふふふふ!もうすぐ世界は我らのものだ!」いつしか彼は悪の組織ブラック・マンデーのブラック首領と呼ばれるようになっていた。
「ぐえー!」突然、戦闘員の悲痛な悲鳴が聞こえる。
「何事だ!」幹部達は一斉に悲鳴の方向に目を向けた。
「見つけぞ!ここがブラック・マンデーの基地だな!!」そこには、白い上下の服に真っ赤なスカーフを首に巻いた男の姿があった。
「貴様は一体何者だ!」ブラック首領は手に持った杖で体を支えながら男に向かって問うた。
「俺か!俺は!!変身っ、とう!!!」男の腰に巻かれたベルトから激しい光が放たれて、彼の姿は覆面を被ったヒーローへと変化した。「俺は、覆面ドライバーだ!!!」ポーズを決めながらヒーローは自己紹介をする。
「覆面ドライバーだと!皆の者、この男をかたずけろ!!」ブラック首領は下っ端戦闘員達に命令を下す。
「ヤー!!」戦闘員達は覆面ドライバーを囲む。覆面ドライバーはその戦闘員を千切っては投げ、千切っては投げと倒していった。
「次は貴様だ!!ブラック首領!」覆面ドライバーは宙高く舞いあがった。「ドライバー・キック!!」斜め45度に落ちてくる彼の蹴りがブラック首領の胸に直撃する。
「ぬぬぬぬ!見事だ!!覆面ドライバー!!その力、勇気、正義を称賛して私の名前をお前に譲ろう!・・・・・・、お前は今日から『覆面ドライバー・ブラック』と名乗るがいい!」そう言い残すとブラック首領の身体は姿を消した。
「敵ながらいさぎの良い奴だ。ブラック首領!その気概に答えよう!!」彼は言いながらポ-ズを取った。「俺の名は覆面ドライバー・ブラック!!」決まったと彼は微笑んだ。
愛用の車『ドライバーZ』に飛び乗る覆面ドライバー。
彼の活躍のお陰で世界に平和が戻った。
有難う覆面ドライバー!! 有難う、覆面ドライバー・ブラック!!!
完
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