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「私はまだまだ未熟だ」
一美が頑張れるもう一つの理由。
それは憧れの先輩である白田に一人前として認めてもらうことだ。
他の先輩たちは一美を新人扱いする。
入社して半年しか経っていないので、誰から見ても新人なのだが。一美自身がそれを一番許せなかった。
社会人として弱音を吐くわけにはいかない。
飲み会や酒のせいにして愚痴をこぼすことはできるが、白田の言葉を思い出す。
「私的にはどうかと思うが、そういう場所でしか自分を出せない奴を俺は信用も信頼もできない」
飲み会の席から離れ、喫煙室で一人佇んでいる白田の言葉だった。
何があったのか。
一美はその時に言葉をかけることができなかったことを後悔していた。
その時の白田の雰囲気は今までに見たことがない程、暗く冷たかった。
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