決着

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「挑み続けている限り、負けじゃありません!」   一美は叫んでいた。  突然のことに驚いた白田は手を止める。 「先輩が何に戸惑っているのかは分かりませんが、諦めない限り、終わりじゃないと私は思っています。えっと、私はそのまだまだ新人の身ですが、色々な方法を学ばせてもらっています。今もこうして直接先輩と話ができて嬉しいし、本当はパーティに行きたいって想いもあるのですが」 「ヒトミちゃん、落ち着いて。深呼吸して」  一美は自分でも何を言っているのか分からなくなってしまった。  鼻から息を吸い、口からゆっくりと吐き出す。  二度、三度と繰り返すとだんだんと落ち着いてきた。  白田を励まそうとしたのだが、失敗してしまった。  一美は慚愧に堪えず、情けなくなった。 「フフッ」  白田が微笑する。 「何が言いたかったのかは分からなかったけど、励まそうとしてくれた気持ちは伝わったかな」  少し恥ずかしそうに笑う白田を見て、ずるいと一美は内心で叫んだ。 「先輩も、そんな顔するんですね」 「変だった?」 「いえ、全然」
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