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むしろ、一美にとっては眼福であった。
新入社員の間で独身の白田は人気がある。清潔感があり、面倒見も良いところが高ポイント、と同期が言っていたのは一美は思い出した。
「それじゃヒトミちゃんへのお礼に、先輩からの貴重なアドバイスだ」
一美の資料の記載されている日付を指す。
「ココ、最後の記入箇所の日付が間違ってる。ここの会社は提出日じゃなくて、受理した日で決済するから今日の日付じゃあない」
苦戦している箇所を容易に把握し、修正点を指摘する。
どうして先輩はすぐに間違いを探せるのか。
後輩が先輩に口出しした。
色々な事が頭の中を巡り、一美の思考回路は限界だ。
「は、はい」
生返事で返し、白田から指摘された箇所を修正していく。
「ここで最後だ」
「shift」と「S」キーを押して資料を保存させる。
これで今日で終わる予定だった一美の仕事は全て完了だ。
「資料の修正だけじゃなく、知らない事も教えて頂き、ありがとうございました!」
一美は心の底から感謝した。
このまま一人で作業を続けていたら、パーティーに参加するどころか、終電を逃す可能性もあった。
「それじゃあ、会場に向かおうか。ビュッフェ楽しみにしてるんでしょ?」
パソコンをシャットダウンさせつつ、退勤する。
そんなに浮き足だっていたかなと、一美はもっと恥ずかしくなった。
考えがまとまらないままパーティー会場へ向かった。
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