最高のねむり

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最高のねむり

 男の趣味はねむることであった。  お酒ものまないし、タバコもすわない、女性とつきあったこともない。 仕事がおわり、お酒をのみにいこうとさそわれても、用事があるからとことわった。  用事とは、ねむることである。  「趣味は何ですか」ときかれれると「ねむることです」とこたえるのは、はずかしいので「本を読んだり、音楽をきくことです」とこたえた。本を読んでいるとねむたくなるし、静かな音楽をきいていると気持ちよくねむることができるのである。  男は仕事をしているときだけでなく、いつもねむることをかんがえていた。  気持ちよくねむることが何よりも大切なことであった。
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