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矢印で誘導され次のブースへ進む。 入り口付近にまるで目隠しするようにパーティションが立ててあった。 その理由は入ってすぐに明らかになる。 壁一面に あの赤紫の夕焼け。 フライヤーで見たあの写真だ。 ここまでの大きさだと、フライヤーのそれとはまるで印象が違う。 パネルの前に立つと、まるで実際に目の前でその空を見上げているかのような錯覚に陥る。 吸い込まれる。 足もとが揺れ、 浮き上がるような感覚に襲われた。 思わず両足の指が床を掴む。 ここに至るまで部分的な風景写真が多かったせいか、 広い夕焼け空を視野範囲で写したその写真に圧倒される。 もちろん大きさもあるかもしれない。 画面下にシルエットだけで写る町並み以外は空しか見えない。 沈む太陽の光が何重にも横に長く重なる雲に反射し 茜から濃紺へのグラデーションを見せている。 茜の上は沈む太陽が放つ一瞬の橙、 紅、 紫、 藍、 そして群青から濃紺 果て無き宇宙の闇へと繋がっている。 自然が見せるそのパレットは 人工的には作りえない鮮やかさや深みを有している。 The way which goes some day  いつかゆく道程(みち) タイトルをみて全身の肌がざわっと粟立った。
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