7.

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「コーヒーでも飲むか?」 ベッドに横になってた逢阪に、そう聞いてきた浅倉はホットコーヒーを差し出す。 「…ありがとうございます…」 夜明けだった空は、完璧に陽が上がっていた。今日が定休日であることを理由に2人はその後2回ほどコトに及んだ。暖かいコーヒーが身体中に沁み渡る。 「再来月から支店長になることが本決まりになった」 ベッドに腰掛けてコーヒーを啜る逢阪に、浅倉が告げる。 「西の地区担当だ。かなり遠くなる」 「そうなんですか…」 ふと以前、居酒屋で聞いた新井の話を思い出した。 『実際あの歳で支店長候補なんて重圧もいいところだ』 『その分愚痴の一つも出したくなるだろうにあいつはまったく顔に出さないんだ、すげえよ』 「浅倉さ、あの、しんどくなったらさいつでも愚痴聞いてやるから」 浅倉の目を見ながら逢阪は言う。 「無理、すんなよ。いつでも逢いに来いよ」 一瞬、浅倉は驚いた様な顔をしたがその後、笑顔を見せてこう言う。 「お前が逢いに来い」 2人は大声で笑いあった。 「そういえば何で俺いじめられてたの」 ふと思い出したことを、浅倉に聞いてみる。 「…さっき言っただろ」 『お前はこうなる事を全く予期してなかっただろうが、俺は望んでたよ』 「俺とこうなりたかったって、言ってた…それって好きの裏返し?みたいなもん?!えええ」 「…悪かったよ」 好きな子に意地悪するなんて小学生かよ…!と逢阪が頭を抱える。 (一体いつから俺を好きだったんだろう) 時間はこれからたくさんある。ゆっくり聞き出してやろう、と逢阪は笑う。 (俺しか知らない浅倉をこれからたくさん発掘してやる) 「あれ、そう言えばコーヒーじゃないんだ?店じゃブラックなのに」 鼻腔をくすぐるこの香りはミルクティーだ。 「ああ、家で飲むときはミルクティーにしてるよ。甘くて頭が安らぐ」 「へぇ…」 ミルクティーとは意外だと逢阪は笑う。これでまた皆が知らない浅倉を1つ知ったのだと、我ながら単純だ。逢阪は、気だるい身体を浅倉の方へと向ける。浅倉の手にあるミルクティーを逢阪は少し口に含むと、そのまま浅倉にキスをする。 口移しでミルクティーが運ばれて甘い香りがした。
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