1話 道端系美人と治癒野郎

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人気がなく、周りに木しかない何の面白みもない路地を抜けると、辺りの空気が一変し、目の前に商店街があった。 賑やかで楽しい所だが、これがなかなか人が多くて近所の友達が鴨くらいしかいなかったレベルの田舎から来た林檎は落ち着かない。 メモやデッサンをしながらしばらくは音楽を聴いていたが、何か自分がそこで買い物をしている主婦達に見られていることに気がついた。 不審に思ってしれっとした顔でイヤホンを外す。すると会話が聞こえてきた。 「あ、あの子高校生くらいじゃない。大丈夫かしら?」 「いやほら、弱くはなさそうだし…それにしても変よね。ただ単に暴力とかお金が目的なら女の子でもいい筈なのに、高校生の男ばっかり狙うなんて。」 「物騒よねぇ。夏休みだから良いけどうちの子家からあんまり出してないわ」 「まぁ…早く犯人捕まらないかしらね」 「だって全身黒、ってだけでそれ以外に何の情報もないんでしょ?年齢も性別も。 それに何か奪ったわけでも脅したわけでも殴ったわけでもなく、ただ質問しただけ、っていうのが厄介じゃないの。犯罪にはならないんじゃ」 「法律があるんじゃないの?犯罪扱いよきっと」 「そーやって余裕にしてると被害にあうのよ。今は外出ないのが安全だって」 こそこそ話というものが世界で何番目かに嫌いなので不愉快だったが、どうやら自分は心配(?)されているみたいだった。 そうか、歩いていても中高生が単独で居るのがなかなか見受けられなかったがそういうことなのか。 男子高校生を狙った…何だ、質問?どういうことだろう。そんなものに皆怯えているのか。まあ、俺には関係ないか。 それからしばらく奥様方の話を聞いていたが、全然関係のない話になった様なので飽きた。 再びイヤホンでプレイリストを再生し、デッサンの続きをする。 …面白くないなぁ!
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