1

2/9

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
5年前、俺は18歳だった。 俺は放課後、近くの公園で友人の辰田定(たつた さだめ)と隠れてサッカーをしていた。何故隠れていたかというと、俺が通う楽練高等学校は野球が盛んな上、サッカー部の非行が問題となり長い間部活は再起していなかった。そのせいでサッカー=不良というイメージが付いていた。定がコンビニのアルバイトをフルで入れるようになると俺は一人でボールと遊ぶようになった。サッカー部は無いしやれば不良と噂される。だから遊びでしかやらなかったが球技の中では1番好きだった。 そんなある日、楽練高校に転校生が来た。田舎の学校ではすぐに噂は広まる。 「Uー15の天才が来たぞ」ムードメーカーな定が学年中を走り回って伝えた。 天道未来は小学生の頃からサッカーの才能を見出され、年代別代表にも選ばれる天才少年として有名だった。 楽練高はサッカーの強豪校ではない。それどころか悪しき記憶の断片だ。だが天道は「ここにサッカーをしに来た」と全校朝会の挨拶でそう告げた。当然周りは騒ついた。「不良なのか?」とイメージが早くも付いてしまっていた。 天道は我が道を行く高飛車だった。 すぐに部を立ち上げ、フワッと掴みどころのない空気を漂わせつつも暇な奴らを引き入れていった。 最後のメンバーは俺だった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加