ダンプカーとファーストキス

2/3
562人が本棚に入れています
本棚に追加
/101ページ
「…っは!?」 俺、死んだよな? 徹夜で【ドキドキ☆(セント)ホーリアナ学園】プレイしてて、全ルートコンプ祝いに贅沢コンポタ缶をコンビニに買いに行く途中で、信号フルシカトしたダンプカーと衝撃の出会いをしたはず… 腕も足も背中もめっちゃ痛かったし、すっげぇ音したよ?間違いない。 痛すぎて忘れられないトラウマよ? 俺死んだけど。 絶対生きてるハズないけど。 じゃぁここドコ? 見上げる天井は真っ白、ベッドをぐるりと囲むカーテンも同じ真っ白。 少し痛む左右の腕は折れてないし、点滴らしいものもない。 足だってドラマでよく見るみたいに固定されてないし、指までちゃんと動かせる。ちょっと全体的に縮んだ気がするけど。 でも痛くない!折れてない!死んでない!! 「生きてる!!声高い!?」 軋む体を無理やり起こしたと同時にバタバタって足音とガラガラって扉を開けて入ってくる人達。 「輝瑠(ひかる)!!よかった!目を覚ましたのね!」 ヒカル?…ううん、俺サトシ(17)。 熟成5年のお腐れボーイ。 「突然お庭の何もない所で転けてから1時間も目を覚まさなかったのよ!?大丈夫!? 頭痛くない?腕は?足は?あぁ顔には怪我はないわね!ちゃんと手をついたのね!偉いわ!天才!!さすが輝瑠!」 「…グズッ…無事でよかった、よかったぁっ…!」 綺麗なハイテンションお姉さんとクールなボロ泣きお兄さん めっちゃ心配してくれてるみたいだけど、俺サトシだし。 「…………誰?」 「……へ?」 「…輝瑠?」 いやいや、そんな悲壮感たっぷり見られても知らない人だし。 「人違いじゃないですか?」 「……」 「…輝瑠、父さんと母さんが分からないのか?」 「父さんと母さん…?」 芳樹(父さん)和美(母さん)じゃないから知らないな。
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!