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遡ること十数分前。
キュルンッ!て文字のエフェクトが見えるような可愛らしいチワワ(♂)に呼び出された。
お?イベントか?どんなイベントだ?
ってお腐れの好奇心に従って軽い気持ちで、あの二人を置いて着いて来たらコレだよ。
体育館外壁を背に追い込まれて周りをグルりと囲まれ俺を中点に半径2mの半円を形成。
初めて5cm/秒で動く点Pが羨ましくて仕方ない。
でも2秒で10cmか…絶対逃げられないじゃん。もっと速く動けよ点Pさんよぉ!
はぁ…ため息しかでない。
「溜息なんていい度胸だね」
はい、どうも。全く嬉しくないよ。
「ねぇ、この前の常磐様とのあれ、どういうこと?」
呼び出しに来たこのキュルンチワワが中心人物らしくてズンズン詰め寄ってきた。
ここでこの前?って聞き返したら多分、ってか絶対張り手される系のイベント。
納得してるわけじゃないけど、分かるよ。だって俺お腐れだもん。この展開何回も何回も読んできたもん。
「食堂の壁ドンのことでっ…」
叩かれた… 天然ぶることなく、知らん振りもしなかったのに…
父さんにも打たれたことないのに…深山くんの顔なのに!!
「…痛いんですが」
「口答えしないで。蘇芳様にゴマ擦って使用人にしてもらってまで常磐様に近づきたかったの?」
「いや、俺は…痛っ」
二度も打ったね!?…じゃなくて!
……まぁいいや。
まだ中等部だし、そういうルールが定着してないのかも知れないから今回は多目に見てあげる。
でもさぁ…深山くんのご尊顔だぞ?
殴られた勢いで倒れて顔に怪我したらどうしてくれんだよ。
この顔に縫い跡とか冗談じゃない。
いや、ホントこれは多目に見てガチギレで済ませてあげるレベルの案件です。
輝瑠、切っれまぁす!
今からRスチル欲しさに間に入って来たってもう遅いからな!
「まともに理由も言わず、コッチの話も聞かずに平手とかどういう神経してんだテメェ」
「えっ偉そうにしないでよ!」
「話し聞かずに偉そうって決め付けて張ってくるお前こそ偉そうなんじゃねぇのか?何様だよ、言ってみろ!」
「ぼ、僕は…僕は…」
「人の顔張っておいて被害者ヅラで泣いてんじゃねぇぞ!」
深山くんの顔でこんな言葉遣いしたくないけど、しょうがないよな。うん。前の時はもっとヒドイ喋り方してたし、むしろ和らいだほうだろ。
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