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もう、お金も底をつく。
このまま残金が無くなれば、自殺するしかないかな。そんな風にも思うけど。
なら、それなら。
この自身の肉体に対する嫌悪感、記憶、恐怖、そう言ったものを一切合切食べて貰えたら。
もしかしたらやり直せるのかもしれない。
そんな風にも、思ったのだ。
「ああ、本当に現れたんだね」
あたりに人が居なくなった丁度真夜中の2時9分。
その猫は現れた。
猫、というか、これはもう虎じゃないか、そんなふうにも思える真っ白の猫。
あ、白いんだ。
その時はそう思っただけ。
きっと真っ黒な猫が現れるんじゃないか。
そんな風にも感じていたから。
「キサマは何が不満なんだ?」
その猫はそんな事を言った。
「どうしてそんな事を聞くんです?」
僕はそう返す。
「俺に食べられたいんだろう?」
「だったら、なんで食べられたいのか話せ。話もできないやつどんな味かもわからないやつ食べてやる義理もないだろ?」
ああ、そういう事、か。
確かにね。
互いに利があるからこの会が行われるわけか。
だよね。
一方的に食べられるわけじゃ、ないんだ。
でも、さ。
「話さないと食べてくれないんですか?」
「まあな。俺にだって食べたいものを食べる権利があるのさ」
ああ、なんだか凄く人間臭い化け猫、だ。
「なんだかあんた、人間臭い事いうんだね」
僕がそう言った途端。
その化け猫の眉間にシワがよった。
「ち! もしかしてまた外れか? おいおい、いい加減にしてくれよ」
そういうとその猫、猫にあるまじき姿勢であぐらをかき、両手を広げて頭を振った。
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