6人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
「何か嫌な事でもあったのかい?」
「ああ。前回の奴がハズレでな。俺の闇、みんな持ってかれちまった。だから早急に美味い狂気を喰らいたいところなんだがな。キサマも外れか。狂気を感じないぞ?」
え?
「もしかして、あんた真っ白なのって毒気が抜かれてるってはなし?」
「ああ、白く見えるんだな、キサマには。俺にはそういうのはちょっとわからないんだが」
なんだかこの猫ほんとに化け猫?
ぜんぜん怖くない。
でもこのままじゃ、僕の目的も達成できないし。どうしようか。
「ねえ。食べてくれないの?」
そう上目遣いで聞いてみる。
こうなったら少々恥ずかしくても……。
「ん? 小僧、お前……」
何か訝しんでいる白い猫。こちらをじろじろ舐めるようにみる。
ああ、もしかして。
「小僧、お前ひょっとして、ゲイか?」
はぁ?
「なよっちいしな、じゃなかったらあれか、女になりたい系か?」
ちょっと待ってよ!
「女になんか誰がなりたいもんか!」
ちょっと叫ぶように声を吐き出す。流石に許せない。
「そうか、なるほどね。キサマの狂気、そのあたりに地雷があるか」
ああ、うまく誘導された? っぽい?
「まあそういう事なら、だ。あまり俺は役に立たないかもしれないな」
え?
「その程度の狂気なら、喰いたくも無い、って事だ」
そんな……。
最初のコメントを投稿しよう!