エピソードゼロ。

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「どうして? おねがいだよ。このままじゃもう自殺するしか無いかって思ってるのに」 「自殺? そうか。おい。自殺するくらいならその身体俺にくれ。うまく使ってやるよ」 はあ? どうしてそうなるの? 「お前、俺のこと人間臭いとか言ったよな。あれ、当たってんだよ。俺は元々人間だったのだからな」 「ああ、化け猫になる前ってこと?」 「そうさ。俺にも人間だった時があった。もしお前がその身体捨てるのなら貰ってやるぞ。そうして俺は人間としてやり直す」 流石にそれは嫌、だ。 「いくらなんでもそれは嫌、かな。ちょっと気持ち悪い」 「って、お前死ぬんだろ? 死んじまったらそんな気持ち悪いもなにも無いぞ?」 「でも嫌だ。もういいよ。何処か遠くに行って死ぬから。ついてこないでね気持ち悪い」 僕はそのまま振り返り、この場から離れようとして一歩踏み出した、の、だが。 「ああ。無理だよ。ここには結界が張ってある。俺の許可なく外に出るのは不可能だ」 うそ! だめ。 足が進まない。 「どうせお前、俺に喰われにきたんだろ? だったら喰ってやるよ。身体ごとなあ!」 背中の白い猫はそのまま膨らんで。 そしてそのまま僕を飲み込んだ。 と、そこまでは理解できた。
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