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「どうして? おねがいだよ。このままじゃもう自殺するしか無いかって思ってるのに」
「自殺? そうか。おい。自殺するくらいならその身体俺にくれ。うまく使ってやるよ」
はあ? どうしてそうなるの?
「お前、俺のこと人間臭いとか言ったよな。あれ、当たってんだよ。俺は元々人間だったのだからな」
「ああ、化け猫になる前ってこと?」
「そうさ。俺にも人間だった時があった。もしお前がその身体捨てるのなら貰ってやるぞ。そうして俺は人間としてやり直す」
流石にそれは嫌、だ。
「いくらなんでもそれは嫌、かな。ちょっと気持ち悪い」
「って、お前死ぬんだろ? 死んじまったらそんな気持ち悪いもなにも無いぞ?」
「でも嫌だ。もういいよ。何処か遠くに行って死ぬから。ついてこないでね気持ち悪い」
僕はそのまま振り返り、この場から離れようとして一歩踏み出した、の、だが。
「ああ。無理だよ。ここには結界が張ってある。俺の許可なく外に出るのは不可能だ」
うそ!
だめ。
足が進まない。
「どうせお前、俺に喰われにきたんだろ? だったら喰ってやるよ。身体ごとなあ!」
背中の白い猫はそのまま膨らんで。
そしてそのまま僕を飲み込んだ。
と、そこまでは理解できた。
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